本日のタイトルは現在公開中のこちらの
映画「白鯨との戦い」の原題でございまして。
一部の方々はご存じかもしれませんが自分は
「白鯨」の作者ハーマン・メルヴィルが色んな意味で大好きでございます。ホーソーンに憧れるあまり近所に引っ越してみたりとか生きてる間はほぼ泣かず飛ばずだったってところとかにも強い共感を覚える次第です。。
あ、初期の作品は売れてたんですが渾身で書いたものほどアレだったっていう、ね……。
シニカルな中篇や抱腹絶倒の短編も大好きで、世界十大小説の一つにあげられる「白鯨(モビィ・ディック)」ももちろん大好き……ッ!
いや、話は逸れますけど、自分の死後とはいえ”世界十大小説”ですぜ? ハンパないです。ウワアア自分なんかダメだ!と思っても作品は仕上げておくべき!多分!(急に正論)
そんなわけでとりあえず「白鯨」とつく映像作品はだいたい観ております。ま、ほぼ同時代の大作家エドガー・アラン・ポーの映像化に比べたらそんなに数ないけどなっ!(開き直り)
こちらの映画も当然気になっていたのですが、正直なんの映画なのか観に行くまでよくわかりませんでした。原作はアメリカで権威ある賞を受賞したノンフィクションだそうで。
ノンフィクション! ってことはまず「白鯨」の映画化ではなさそうだし、だとしたらいったい誰が出てきて何と闘うというのか?? 等々。
観に行って、ビックリ。
まず外枠がすばらしい。19世紀半ばのアメリカ。ナンタケット島(捕鯨の中心地)にやってきたハーマン・メルヴィル(ベン・ウィショー!)は、自作小説の調査のため、ある老人を訪ねます。彼はある遭難事件に巻き込まれたエセックス号の最後の生き残りでありました……
そこから紆余曲折経て回想が始まるわけですが、ひたすら全編迫真の映像の連続。
監督は超ベテランのロン・ハワード。”真実の物語”系の映画を見るにあたってこれ以上頼もしい監督はいないかと。真実ぢゃなくたって、私お気に入りの「天使と悪魔」の監督だからな! 「ダ・ヴィンチ・コード」は微妙ry
19世紀、欧米の捕鯨船がなんで世界中を血眼になってめぐっていたかというとお肉……ではなくその油、鯨油が目当てでございました。ランプ用に使っていたんですね。
産業革命が本格的に始まると石油などにとって代わられていくわけですが、舞台となる時代にはまだその足音が聞こえてきているぐらいです。
結論からいうと、ちゃんと白鯨出ます。コワイです。まさに海の獣。
帆船! 帆船! 帆船は正義!!
船長(地元名家のお坊ちゃん)と一等航海士(よそ者農家出の叩き上げ)の対比と対立もキャラクター的においしいし、航海の果て、乗組員たちに襲い掛かる運命の流転にも息を呑みます。
さらに、ガチ漂流モノでもあります。私なら初日でギブですよ(最弱!)
いやほんと、これが真実ならこんなに過酷な真実もない。
今度、ノンフィクションの本も読むつもりでございます。文庫本でお手頃ですしね。
19世紀海洋冒険映画+ノンフィクションの凄み+歴史の魅力的な外枠と、非常に満足度が高かったです。
しかもメルヴィル役が、ベン・ウィショーくん!(再び強調) 強調してもしたりないぐらい素晴らしい。彼はいまや「007」のQで人気を博しておりますが、個人的にはウォシャウスキー兄弟の映画「クラウド・アトラス」の悲劇の作曲家役が初見でしたのであっちの印象がすごい。。
ともかく真面目に、かつ心揺さぶられる映画という感じが良かったです。
つまりそれって、いつものロン・ハワードクオリティ……! ありがとうございます!
メルヴィル様もやっぱ最高や……(感無量)
ガチ海洋ものバッチ来い!な方にはオススメいたしますv
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2016/01/22
こんな映画を見た・・・