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2024/05/20

水界の王と更新される玉座~建国記念日に寄せて(嘘

 春には遠いこの厳寒期、「マッド・マックス 怒りのデス・ロード」凱旋上映に喜び勇んで行って参りまして汗だくになって帰宅し候。

 
 今更説明は不要、まごうことなきヒャッハー映画の金字塔でありながらその貫かれた美学はビジュアルだけに留まりません。劇場2回目、ブルーレイ入れて〇回目ともなると余計なことを色々考えさせられてしまうのでありまして、エエ。
 私は自分の卒研がなんだかよく分からない地域の王権に関する儀礼と象徴神話だったこともあり(お茶を濁す……)どうしてもフィクションでピーンとくる構造を目にすると胸騒がずにはいられませんw 
 就職やその後の人生にはまったくつぶしが効かないうえに卒論の題名すら人に言えないけれど、人文科学が大好きです私は(なぜか涙目)



 以下、超絶ネタばれの上でのマド☆デス( まどマギのように言うな)考察でございますので、映画の内容をご存じの方だけ、良かったらどぞ。



 まずは、狂った独裁者以外の何者でもないように拝見さるるV8神イモータン・ジョー様。


    


 ですが、彼が担っている水場を支配し、それを民に分配するという機能は世界に興ったあまたの文明における王の役割の根本的なものだと考えられます。古来、どの世界でも水や天候を支配できる者が王であり司祭の原型だったことが思い出されます。
 そう考えるとイモータン・ジョー様は独裁者というだけではなく、祭祀王なんですな。


 ただその強大にみえる王権も、実は盤石ではない。
 なぜならガス・タウンと垂直に伸びた道路のすぐ両側にはヤマアラシ族が支配する敵地が広がっていることは映画を見た方ならお分かりでしょう。
 そう考えると砦はまさに都市国家でしかないんですね……

 彼がなぜあんなに「健康体の赤ん坊」を切望したかというと、古今東西、王朝にとっての最大の懸念である後継者が彼には無かったからです。
 図体だけのリクタスは赤ん坊番長ですし、知恵は回るが不具のもう一人の息子(名前わからん)ではとても”強い統治”はままならない。
 病に蝕まれた自分が動けるうちにと必死だったでしょうね。


 しかし、こういう天界からの男性的強権を覆すのは大地の力が相応しい、すなわち大地母神………この映画にはそれが五人の妻として象徴されている(のかもしれない)
 彼女たちを連れだすフュリオサもまた男性性に対抗する女神の一人と見れなくもない。

 
 荒野に追放(脱出……と見せかけた放浪)されたフュリオサは、最終的に帰還して新しい王になります。


   誰かポスター売ってたらご一報を( 私信)



 即位の試練を乗り越えた古い王を殺した彼女はまさに新女王にふさわしいのです。
 ま、フュリオサ様の性格からすると共和制に移行するんだろうなとは思いますがね。
 それでも、下層(地)から上層(天)へと上昇しながら閉じるエンディングは彼女に降り注ぐ栄光を象徴するかのようです。


 エンディングではもう一つ重要な場面が。
 マックスは、ギガホース(イモータン・ジョーの愛車、つまりこの世界では王の馬に相当)に載せたイモータン・ジョーの亡骸を民衆の前に明かし、その後地面にけり落とします。
 これなんてもうまさに「古い秩序の死」を如実に表す最大の儀礼といってもいい。


 古い王の死と新しい王の誕生を祝福するのは同場面でとくになんの脈絡もなく流されているように見える大量の”水”……世界を総べる命の象徴です。

 しかもそれを操作しているのは囚われの身だった古い世代の”母”たちです。まさに、マザーズ・ミルクの解放です。


 一つ、今でも気になっている場面が中盤、マックスが「マザーズ・ミルク」と知りながら血だらけの顔を洗う場面。なぜふつーに水じゃいけなかったんですかね?(水はウォー・タンクに豊富に詰まれているのに)

 血を乳でぬぐうとはなんと意味深な……穢れを払ったのか……あるいは大地と人の絆を結んだのか……( 大ばば様の声で



  ※ちな、後ろのヒャッハーではなく手前のひとがマックス


 こう考えると、すべてを”転覆”させたのちまた風のように去っていくマックスも神格の一人でありトリックスターなんだなと(そういう意味では性別を超えたフュリオサとの関係構築も納得できる気が。アートブックではマックスにはまだ愛を受け入れる準備が出来ていないと書かれていたけれど)
 荒野に戻ろうとするフュリオサに「引き返せ」と方向転換を迫ったり、死の淵から引き戻すのも彼ですしな。

 ニュークス君もトリックスター的なんだけれども、トリックスターはえてして”不死”である場合が多いのでね……;;

 
 放浪の主人公(ヒーロー)は目立ちっぷりだけにとどまらず、どう解釈してもフュリオサ様であります。大隊長~~!!!(崇拝)


 私は監督がこういうネ申構造にしようと意図したというより、監督が研ぎ澄ましていった結果、限りなく神話に近づいたのだと感じます。神話に匹敵する映画なんだから「はあアカデミー賞作品賞ノミネートぉ? 当然でしょ!」 なのであります( 何故かドヤ顔)

 
 とにかく深い世界観というのはこういうものを言うんだな、と何度みても文化や言語を超えた感動に震えてしまいます。

 最凶ヒャッハー映画なのに! どーみてもヒャッハー映画ってことで片付けてもいいような感じなのに、なんかこう卒論が一本書けそうな気がするヨォォォ!( どこのや……)



 卒論は無理ですが、私もそのうちこれぐらい壮麗なマッド王国物語を書きたいです。今書いてる話も違う意味でマッドではありますが違う方向のマッドなので( 真顔)


 それとも親子二代に渡るマッドカフェ店員の話でも考える、か……? ( や め い )
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2016/02/11 こんな映画を見た・・・ Comment(0)

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プロフィール
 
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ゆきを
性別:
女性
職業:
営業事務員
趣味:
本屋街放浪
自己紹介:
 年にせいぜい一回か二回、自作小説を投稿するために年中無休で四苦八苦(・∀・) 某賞で3回続けて最終選考落選したり諸々落ちたけれど、わたしは比較的げんきです。

 映画や世界史、展覧会鑑賞、庭園巡りが好きです。 

 好きな作家はゼラズニイ、ライバー、ヴォークト、トールキン、マキャモン、レズニック、メルヴィル、皆川博子様などなどなど……

 音楽、ロック系洋楽好きです。
 30 Seconds To Mars, MUSE, New order, Nightwish, LINKIN PARKなどなど。ゲームや映画サントラも聴きまくります。 
 
 
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